瀬戸内海に浮かぶ小豆島に両備ホールディングスが所有するブルーベリー農場があります。
約20年にわたって、この農場でブルーベリーの栽培に携わっている松本紀男さんに、お話を聞きに行ってきました。
手探りの中スタートしたブルーベリー栽培。
松本さんは以前のお勤め先を定年退職された後、小豆島に移住してブルーベリー農場の管理に就かれたそうです。
「それまでは、まったく農業とは縁のない生活でしたが、たまたまこのブルーベリー農園の世話をしてくれないかと声を掛けていただいて。ゼロからの挑戦でしたが、そういうのもおもしろいかなと思いまして(笑)」と、笑顔で語る松本さん。
島に来た当初は、ブルーベリーの木もほとんど枯れていて、「まるで野原みたいだった」そうです。
いろいろな専門書で栽培法を調べながら、手探りの中で数年間は試行錯誤を繰り返し、ようやく土壌が酸性でないとブルーベリーの木が枯れてしまうという答えに辿り着きました。
商品化という予想もしなかった展開に。
3,4年目にようやくブルーベリーの実が収穫できるようになったものの、その量はまだまだ少なく、「当初は、現在のように事業として商品化することなんて想像もできなかった」と言います。
当時は、収穫したブルーベリーを島内にある両備グループのオーキドホテルに少し届けたりしていました。
肥料の種類や与え方なども試行錯誤を重ね、土壌も安定して収穫高も増えてくると、やがて商品化という話が具体化するように。
当初の野原のような状態から考えると、収穫したブルーベリーを原材料にした製品ができるというのは、まったく想定外のうれしい誤算だったそうです。
現在、島内でブルーベリーを個人で栽培している方はいるものの、農場として運営しているのはこちらの一カ所のみ。それもひとえに、松本さんの努力と工夫の賜物と言えるでしょう。
手塩にかけたブルーベリーの「本物」の美味しさ。
現在は約500本のブルーベリーの木を栽培しており、収穫の繁忙期以外は松本さんお一人で世話をされています。
7月後半から8月いっぱいの収穫期には、お手伝いの方と一緒に一粒ずつ手作業で丁寧に収穫するそうです。
この仕事は楽しい、とおっしゃる松本さん。「いい実がなればうれしいですし、そのブルーベリーでつくったジャムやゼリーは、本当に美味しいと思います。本物の美味しさですね」。
他の農場のブルーベリーは一切使わず、松本さん育てたブルーベリーだけでつくったジャムやゼリー。
限られた収穫量の中から厳選した良質の実でつくった美味しさは、サービスエリアや観光センターなどでも大人気となっています。
これから収穫の時期を控え、2か月間ほどは天気とにらめっこする日々が続くそうです。
今年はいいブルーベリーがたくさん収穫できるといいですね。
これからもまだまだ、がんばって美味しいブルーベリーをつくり続けてください。
※写真は「ブルーベリーあんバター」のものとなります。
2024年3月9日、福山サービスエリア(上り線)フードコートにオープンした「とんかつと豚肉料理 平田牧場」。
西日本エリア初出店となる今回のプロジェクトのキーパーソンである、株式会社平田牧場の事業本部営業部部長・玉貫志郎さんにお話を伺いました。
両社の企業理念が共鳴して生まれたパートナーシップ。
山形・宮城・東京を中心に店舗を展開してきた平田牧場。
1964年の創業から、今年で60周年を迎える歴史ある企業です。創業当時から、豚の品種開発、子豚生産から肥育までを手がけ、さらに加工部門の自社運営など独自の一貫生産・加工流通システムづくりに取り組んでこられました。「実は私、学生時代にアルバイトとして平田牧場で働き、そのまま社員になったんです」と語る玉貫さん。それほどまでに、魅力的な企業なのだと感じました。両社の出会いを発端に、平田牧場の「健康創造企業」という企業理念と、弊社の「安心・安全」を何よりも大切にする思いが共鳴したことが、今回の出店の大きなきっかけとなりました。
手間と時間をかけて育てた最高の豚だからこそ。
福山サービスエリア内の店舗で一番の人気メニューは「三元豚ロースカツ膳」。
豚肉本来の旨味が感じられる赤身と、甘みのある脂身のバランスの良さを存分に堪能できる一品です。
使用している食材は、すべて平田牧場からダイレクトに供給されているものばかり。
特に、豚肉に対するこだわりは並々ならぬものがあります。「とにかく、きちんと手間と時間をかけること。飼育環境は国の推奨する広さの約1.4倍ある開放型豚舎で、伸び伸びと育てています」と玉貫さん。
飼料にもこだわり、遺伝子組み替えを行っておらず、ポストハーベストフリーの穀物だけを厳選しているのだそう。
衣に使用しているパン粉も、改良に改良を重ねてつくりあげた無添加のオリジナルのものを使用しています。
豚肉やパン粉、揚げ油といった原材料すべてに対する徹底したこだわり、これこそが平田牧場のトンカツの抜群のおいしさの秘密なんですね。
SAのフードコートという既成概念を覆す店舗に。
「創業60周年という記念すべきタイミングで、西日本にはじめて情報発信基地的な店舗を出店できたというのは、平田牧場にとっても大きな一歩になりました。
店舗として美味しい料理を食べていただくのはもちろん、平田牧場というブランドやその企業理念をよりたくさんの方に知っていただくきっかけになれば」と玉貫さんは語ります。
サービスエリアのフードコートと言えば、移動中の休憩時に手軽に安く食事を済ませるというイメージがあります。
そんな既成概念を覆すような店舗をつくろうという思いが、両社の中にありました。その甲斐あってオープン以来の客足は非常に好調で、確かな手応えを感じているとのこと。「人間、美味しいものを食べれば、必ず幸せな気持ちになりますよね。
やっぱり、一番は美味しくて安心・安全なものを楽しんで召し上がっていただきたいという想いがあります」今後は、テイクアウトのカツサンドの販売なども計画中とのこと。
これからも、この福山サービスエリアの平田牧場から目が離せませんね。
福山サービスエリア(上り線)に、見事なバラ園があることをご存じでしょうか。
2001年から弊社が花壇の管理を行っており、数々の賞を受賞しています。
今回は、このバラ園の管理を統括している、弊社の門田さん、西さんに取材を行いました。
ばらのまち福山市の玄関口として。
戦後の復興期から「ばらのまち」として知られる福山市。市のシンボルとして市民から親しまれているだけでなく、市制施行100周年の2016年には「100万本のばらのまち」を実現するなど、市民と行政が一体となってばらのまちづくりを進めています。
そんな福山市の西方面からの玄関口ともいえる福山サービスエリア(上り線)にあるバラ園。2013年には花壇のレイアウトも大掛かりな改修が行われ、高速道路の利用者はもちろん、福山市民の憩いの場として愛されています。
門田さんによると、「福山市にはバラ愛好家の方もたくさんいらっしゃいますので、高速道路を利用される方だけでなく、福山市内からのお客様もたくさんお越しになります。
年間に150万人近い方々にご利用いただいています」とのこと。
「バラは生き物」という思いで心を込めて。
品種によっては開花時期が春だけのものもありますが、一般的なバラは年間を通して花が咲くそうです。
最も花に勢いがある5月6月、そして秋にももう一度集中的に開花させるために、タイミングを見ながら剪定することで開花時期を整えているのだそう。
「年間を通して除草作業は必要です。また、花が咲いた後にそのままにしておくと実がなって木自体が弱ってしまうので、花が萎れはじめたら一つひとつ取ってやります。バラの木も生き物ですから。日々、様子を見ながら丁寧に世話をしています」と西さん。
他にも、施肥、水やり、害虫予防など、年間を通して常に世話が必要なんだそうです。
一般的な花壇というと平面的なものを思い浮かべますが、こちらのバラ園はサービスエリアの駐車場側から見て手前は低く、奥に向かって高さがある立体的なレイアウトになっているため、満開の時期には目の前全体が一面の約800本のバラで埋め尽くされる見事な景観を楽しむことができます。
限られたスペースを上手に活かす工夫が施されているんですね。
バラが結んだご縁。バラから広がる世界。
たびたびお越しいただいているお客様もいらっしゃるとのこと。
九州から中京方面に定期的に荷物を運ぶトラックドライバーさんは、ご自身も熱心なバラ愛好家だそうで、バラの手入れをしている作業担当者と親しくなって肥料や薬剤のことについて情報交換などもさせていただいているそうです。
2025年5月には、第20回の世界バラ会議が福山市で開催されます。これは、3年に1度、世界中のバラの研究家や生産者、愛好家が一堂に会する大イベントで、さまざまなプログラムが催されます。
このイベント参加者の視察ツアーのコースに、この福山サービスエリアのバラ園も組み込まれているそうで、「その時期に向けてしっかり準備を整え、最高のバラ園をご覧いただきたいですね」と門田さんも西さんもやる気いっぱいの様子でした。
ばらのまち福山市、そして福山サービスエリアのバラ園が、世界に知られるきっかけになれば・・・と思いました。
サルボ両備が経営する人気のラーメン店、「瀬戸内シヲソバ3.5」。
こちらの看板メニューである瀬戸内シヲソバ、その開発段階から中心的存在としてプロジェクトを牽引してこられた、株式会社冨士麺ず工房の代表取締役・波夛悠也さんにお話を伺いました。
「麺」から始まった唯一無二のラーメンづくり。
岡山に拠点を置く両備グループとして、瀬戸内という土地柄を活かした、他にはない唯一無二のラーメンを作りたい。そんな思いが、冨士麺ず工房との今回のコラボレーションのきっかけでした。冨士麺ず工房といえば、岡山の飲食業界では中華麺のシェアNo.1。新たにラーメン店を立ち上げにあたって、冨士麺ず工房とのパートナーシップは絶対に欠かすことのできないファクターだったといえます。まず手始めに取り組んだのは、どんなラーメンを作るのかというコンセプトづくり。「弊社としても、コンセプト段階から全面的に参画するというのは、過去に前例のないものでした。それだけに、私自身にとっても大きなチャレンジでしたね」と、プロジェクト立ち上げ当初を振り返って波夛さんは語ります。
麺づくりのキーワードは、「不均質」。
まず取り組んだのはコンセプトづくり。最初は、岡山の食材限定でという方向性もあったそうですが、それを「瀬戸内」という視点にすることでグッと幅が広がりました。
麺・スープ・具材、それぞれについての試作は、約1年間にわたって繰り返し行われたそうです。
鶏ガラスープと豚骨スープ、そして返(かえし)のバランスを試行錯誤しながら磨き上げていくのと並行して、そのスープに合わせた麺づくりも試作を重ねました。
麺づくりの中でいちばんこだわったポイントは「不均質」と波夛さん。「瀬戸内シヲソバの麺はストレートの細麺なんですが、そのシンプルな麺に多様性を持たせたかったんです。
食べ始めは麺の食感、コシや歯切れをしっかり感じ取っていただき、中盤から後半にかけては麺がスープを吸うことで小麦の風味とスープの味わいの一体感を楽しんでいただく。そんな麺をめざしました」
完成したのは、これまでのラーメンを超えた一杯。
一杯のラーメンを食べていく中で、時間の経過とともに食感や味わいが変化していくことで、飽きることなく食べきってしまう。そんな緻密な計算を経て、麺がつくられていることに驚きました。
波夛さんは、今回のメニュー開発は「ないものをつくるための挑戦でした」とおっしゃいます。
すでにあるどこかのラーメンを目標にするのではなく、手探りの中で意見を交換しながら、ゼロから新しいものを創造するのはたくさんの苦労があったはず。
その甲斐あって、「他では味わうことができないような、唯一無二の一杯になりました」と、誇らしげに語る波夛さん。トッピングのオリーブやレモンにも、瀬戸内の名を冠したラーメンならではのオリジナリティが感じられます。
「岡山に瀬戸内シヲソバあり」と言える自慢の一杯、ぜひ皆さんも一度召し上がってみてください。